安楽寿院の本尊阿弥陀如来坐像をご紹介します。この像は重要文化財に指定されています。95KBもある大きい画像ですが、鮮明な画像ですのでご了承下さい。
「白河上皇が洛南に造営を始めた鳥羽殿は、のち鳥羽上皇が壮大な離宮として完成させた。鳥羽上皇により離宮の東端に建てられた安楽寿院は鳥羽東殿と称され、保延三年(1137)供養され、続いて塔(二基)、九体阿弥陀堂、不動堂などが建立された。
本像は二基あった塔のうち保延五年(1139)に建てられ、のち鳥羽上皇(保元元年<1156>崩)の遺骨を葬った三重塔の本尊と推定されるものである。造立仏師に関しては、鳥羽御堂全体の造仏を円派仏師が主に担当していたことから考えて、賢円、長円などが想定される。面長となる顔や数多く配された衣文などに、定朝仏の直模ではない独自性が見られ、この時期の円派仏師の作風を窺うまたとない遺品である。」(京都国立博物館発行「院政期の仏像」より)
当院は開基以来、今年で860年になります。永いときの流れの中に、ある時は盗賊に荒らされたり、火災や戦火に遭ったり、またある時は大地震で倒壊したり、寺領が無くなったりと様々な困難な時期を経て、今に至っていますが、本尊様はこのような災害や荒廃のときをことごとく無事に通過して現在に伝わっています。この本尊様を護り伝えてきた先師たちの御苦労は大変なものだったでしょう。
ほぼ等身大の御像です。面長で穏やかな表情、騒音が静まった夜、本尊御前で供養法を修するとき、この寺の住職をさせていただいて本当に良かったと幸せを感じます。
このたびこのページを改訂するに当たり、京都国立博物館様の撮影された写真をご許可をいただき使用させていただきました。この写真の著作権は京都国立博物館に属します。コピー、引用はお断りします。詳しくは京都国立博物館の特別展覧会・特別陳列の「宮廷の美術」をご覧下さい。また引用させていただきました文も京都国立博物館発行の本からのものです。御厚意に感謝申し上げます。